HOME → コラム・レポート→ 組織と人材のマネジメントサイクル第1回

さまざまな企業において、さまざまな人事施策がどのように絡み合いながら、スタッフの価値観や行動に影響を与えているか、また、組織変革に当たりどのように人事施策を活用しているかを考察してみると、大まかであるが多くの共通点が見いだせる。人事政策のうち、人材開発に着目して考察する。

組織と人材のマネジメントサイクル

人事の重要な役割は、人材を起点としたマネジメントサイクルを回すことにある。そしてこのマネジメントサイクルで重要な役割を果たす人材開発は、評価・処遇・教育・配属というサブ・マネジメントサイクルがうまく回って人材開発が成功し、メインのマネジメントサイクルがうまく回ることになる。
この起点であり、中枢をなすのが評価といえるだろう。つまり評価なくして人材開発はあり得ず、人材開発なくして会社の発展はありえないのである。評価は組織の目指す姿(理念やビジョン)を基礎に策定され、行動指針や日々の活動方針にまで、具体的に落とし込まれる。したがって、時代や経済環境の変化によって、ビジョンや経営計画が新たに策定されれば、同時に人材開発計画も新たに策定されなければならない。

企業におけるマネジメントの課題

現在もまだ多くの企業で採用されているマネジメントスタイルは、元来2つの課題を解決するために考え出された。
まず、反復作業を未熟練工に任せ、勤勉さ、能力、効率性などを発揮させ、次にこのような作業をうまく組み合わせて、複雑な商品やサービスを大量に生産した。これらのポイントは、効率を高めながら規模拡大するという要請を基本とし、階層を伴う官僚的な組織構造、目標のブレークダウン、厳密な職務分掌、詳細なルールとマニュアルなどを取り入れたものである。
しかし最近では経済環境の大きな変化を受け、全く異なる新たな難題に直面している。その中で重要なものを抜粋すると以下が挙げられ、これらの難題に対処するには、従来の手法である、標準化・専門分化・階層制・株主利益の最重視などの工業化時代のマネジメントには限界があることを認識しなければならない。
◆めまぐるしい変化の時代に常に目標を見据えながら効率を高め、かつ、柔軟で逆境に強い組織をつくるためにはどうしたらよいのか
◆創造的破壊の環境に適応し、利益を上げるために大胆かつ速やかにイノベーションを実現するためにはどのような方策があるか
◆働き手に日々自主性や想像力を発揮し、情熱を傾けてもらうためにはどうすればよいか

今後は相互依存性が社会的に高まると予想されるため、社内・社外を問わずコラボレーションを重んじる組織のほうが高い成果を上げると考えられる。従業員や地域コミュニティを重視し、顧客満足と従業員満足を同時に高める戦略をとり、マネジメントに市民や地域社会の考え方を反映させることが重要なのである。
(第2回に続く)

2011.10.28  武田英一  (組織|全社改革|人事・人材開発|教育研修)

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